※新着 NEW 2025/11/30 短編小説『穏やかな寝息』追加
45年の時を超えて:『わたしの沖田くん』聖地・町田市訪問記
この度は、漫画『わたしの沖田くん』の主要な舞台となった町田市を、連載開始から45年が経過した2025年に再訪しました。
個人的にも、私は1990年頃から約2年間、町田駅からほど近い多摩市に居住していた時期があります。当時は、まともな携帯電話もデジタルカメラも存在しない時代。町田に遊びに行っても、風景を記録するためにわざわざカメラを持ち歩く習慣などありませんでした。【残念無念】
それからおよそ35年ぶりに町田駅に降り立ちましたが、街の劇的な変貌ぶりに驚きを隠せませんでした。
1990年当時は郊外の下町情緒を残していた町田駅周辺が、今やビルが立ち並ぶ立派な都市へと姿を変えていました。
残念ながら、『わたしの沖田くん』の作中に登場した風景の面影はほとんど残っていませんでしたが、わずかに当時の雰囲気を偲ばせる場所を求めて探索しました。その発見を、ここから順次発表していきたいと思います。
まず、物語の原点である和光荘の跡地を訪れました。
その住所は、町田市原町田1丁目7-3。
作中では、ヒロインの琴さんたちが暮らし、総一さんとの物語が始まった古き良き住宅地のアパートとして描かれていました。しかし45年の時を経て、その場所は一変しています。現在は、かつての面影はなくモダンなマンションが立ち並ぶエリアへと変貌していました。
建物が新しくなっても、ここが確かに『わたしの沖田くん』の物語が物理的にスタートした最も重要な「原点」であることに変わりはありません。変わってしまった風景の中に、当時の和光荘と、そこで繰り広げられた青春の日々を強く感じた瞬間でした。
原町田青空ひろばは、作中の重要な舞台となった聖地中の聖地です。
ここはヒロインの琴さんが住む和光荘から最も近く、最大規模の公園であり、物語のキーポイントで頻繁に登場します。
この広場が何よりも重要なのは、主人公の総一さんが琴さんへ、愛の告白をした記念すべき場所であるためです。
公園を訪れる際は、ぜひ、総一さんの想いが刻まれた、その特別な空気を感じ取ってみてください。
「光の舞い」— 聖地・町田で再会する、あの日の輝き
聖地巡礼の舞台、町田でも名高いまほろばデッキに、あの当時と同じ輝きを放つオブジェ『光の舞い』があります。
太陽の光を受けながら、静かに、しかし優雅にくるくると回転するその姿は、確かに作中で見た印象的な輝きを今に伝えています。
このオブジェは1980年設置。そう、『わたしの沖田くん』の連載開始と同じ年に誕生した、まさに双子のような存在です。作品世界と現実世界が、同じ歳月を重ねてきたという、運命的なご縁を感じずにはいられません。
JORNAは、作中に登場する数少ない具体的な店舗の一つであり、ヒロイン・琴さんの感情が動く重要な舞台となりました。
しかし、現在では、当時店舗の入口付近に張り出していた特徴的な「休憩スペース」は撤去されて、その面影はありません。
この場所は、物語において象徴的なシーンを生みました。琴さんがここで休憩している際に、総一さんの悪口を耳にしてしまい、それが引き金となって怒りが爆発するきっかけとなった場所です。
ファンにとっては、琴さんの純粋な感情と、心の中では総一さんを思っていることがわかる瞬間を記憶にとどめる、聖地巡礼における重要なスポットです。
聖地巡礼の旅は、まさに「時の流れ」との戦いでした。
幸いなことに、公的な建物については当時の位置を特定することができました。特に町田駅前交番や原町田交番などは、その公共性ゆえに位置が変わる確率が低いという、考察の通りに残存していました。
しかし、当時の個人経営のスナックやスーパーなどは、都市開発の波にのまれてその痕跡すら見つけることは叶いませんでした。また、ボーリング場などの大型施設も跡地は確認できたものの、現代的な建物へと完全に姿を変えており掲載するには忍びないと判断し、今回は割愛いたしました。
〇マサダヤ 商業ビル「JORNA」の裏手に回ると、「マサダヤ」の場所を特定できます。特に注目すべきは、その奥に位置する建物の描写です。
意図的にデザインされたかのような四角い小さな窓が、漫画のコマで見た風景と完全に一致しています。
単なる風景ではなく、作中当時の雰囲気を今に伝える貴重な「生きた証拠」として確認できます。
〇飲み屋街 町田の喧騒の中に、まるで時が止まったかのような空間が残されています。開発の波を免れたその場所は、昭和の懐かしい雰囲気を色濃く残す飲み屋街です。
場所は仲見世飲食街。
一歩足を踏み入れれば、そこは80年代初頭どころか、70年代の映画に迷い込んだような情景。当時の沖田くんや琴さんが、もしかしたらこの狭い路地を歩き、暖簾をくぐったのではないか、と想像が膨らむ、作品世界の息づかいを感じられる貴重なエリアです。
小田急町田駅に降り立ちデッキから見える景色は、静かに、そして確実に進化しています。パッと見同じように見えますが、現代的な都市の景観が広がっていました。
また店舗名などは替わっていますが、この場所が一番当時の面影を残していると感じました。
〇おまけ
変わることなくその場に佇む建物は、当時の息吹を静かに伝えていました。 人知れず風景が移り変わる時間の流れを感じながらも、ふとした瞬間に残る『わたしの沖田くん』の確かな面影を辿ることができ、胸の奥からこみ上げるような喜びを覚えました。